「うおおおおお! タクシー!」
糸鋸は懸命にタクシーを呼ぶ。しかし一台として止まってはくれなかった。男をお姫様だっこしているゴリラのようないかつい男……そんな異様な光景に、運転手はアクセルを踏みこんでしまう。
「な、なんでッスか! 全然止まらねッスぅぅぅ!!」
らちが開かない、そう思った糸鋸は怒り狂いながら走り出した。
「うおおおおおおおッ!」
御剣を抱きかかえながら、ネオン街を走り飛ばす。そしてそのまま、なんとも場違いな雰囲気のある区画へ入っていく。糸鋸はふと立ち止まり、目の前の建物に突入した。
「部屋を借りるッス!」
小窓の奥にいる店員に話しかける。
「なら、そこのパネルから部屋を選んで……って、困るよお客さん、男同士は」
「いいから鍵を出すッス!!」
糸鋸の猛烈な勢いに、店員は危険を感じた。拒否したら窓を突き破ってきそうな、そんな予感がした。
「なんだよあんた! 警察呼ぶよ!」
「刑事ならここにいるッス!」
糸鋸は小窓にむかって、警察手帳を突き付ける。
「えええええ!? あんた刑事さんなの!?」
「さっさと鍵を出すッス!!」
断ることが出来なくなった店員は、しぶしぶ鍵を差し出した。
「ご協力、感謝するッス!」
糸鋸は鍵を握り締め、キーホルダーに書かれているルームナンバーの部屋に駆け込んだ。
「なんだいありゃあ……」
店員は呆然としながら、刑事の走り去ったあとを見つめていた。
(つづく)
糸鋸は懸命にタクシーを呼ぶ。しかし一台として止まってはくれなかった。男をお姫様だっこしているゴリラのようないかつい男……そんな異様な光景に、運転手はアクセルを踏みこんでしまう。
「な、なんでッスか! 全然止まらねッスぅぅぅ!!」
らちが開かない、そう思った糸鋸は怒り狂いながら走り出した。
「うおおおおおおおッ!」
御剣を抱きかかえながら、ネオン街を走り飛ばす。そしてそのまま、なんとも場違いな雰囲気のある区画へ入っていく。糸鋸はふと立ち止まり、目の前の建物に突入した。
「部屋を借りるッス!」
小窓の奥にいる店員に話しかける。
「なら、そこのパネルから部屋を選んで……って、困るよお客さん、男同士は」
「いいから鍵を出すッス!!」
糸鋸の猛烈な勢いに、店員は危険を感じた。拒否したら窓を突き破ってきそうな、そんな予感がした。
「なんだよあんた! 警察呼ぶよ!」
「刑事ならここにいるッス!」
糸鋸は小窓にむかって、警察手帳を突き付ける。
「えええええ!? あんた刑事さんなの!?」
「さっさと鍵を出すッス!!」
断ることが出来なくなった店員は、しぶしぶ鍵を差し出した。
「ご協力、感謝するッス!」
糸鋸は鍵を握り締め、キーホルダーに書かれているルームナンバーの部屋に駆け込んだ。
「なんだいありゃあ……」
店員は呆然としながら、刑事の走り去ったあとを見つめていた。
(つづく)