2ntブログ
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「あれ? 御剣検事、ビールはお嫌いでしたか?」
 御剣はジョッキを口に寄せる。
「そのように飲めばいいのだな」
 御剣はジョッキを掲げ、勢いよくビールを飲み込んでいく。その勢いはいつまでも止まらない。
「え? あ、い、一気ッスか!?」
 糸鋸は驚きながら御剣を見守っている。
「うむ、うまいな、これは」
 空になったジョッキを御剣は上品に置いた。
「見事な飲みっぷりッス! お強いですねぇ」
 糸鋸は目を丸くしながら拍手する。
「大袈裟だな、刑事」
「いやいやいや、すごいッスよ、ジョッキで一気飲み! さすがッス!」
「そ、そうか」
 御剣は少し恥ずかしそうに目を逸らす。
「おまちどうさまですッ」
 丸いプラスチックの黒盆にたくさんのつまみを乗せた店員が、二人の会話を切った。店員が目の前に置いていく料理を、御剣は珍しそうに見つめる。
「ほう、これはなんというか……庶民的な料理だな」
「え? あ、こういうのはお口に合わないッスか」
 御剣は右手を軽く振った。
「いや、そうではないのだ。どれも初めて見るものばかりでな」
「はぁぁ、はじめてッスかぁ」
 糸鋸はフレンチのフルコースを食している御剣を想像した。
 居酒屋にくるのが初めてなら、料理も初めて見るものばかりである。それならばと糸鋸は、皿に大盛りになっている枝豆を差し出した。

(つづく)