「キサマ、とんでもない奴だったのだな」
「え? なんでッスか?」
「なんで、だと? 私はこのようなことろ、一度だって来たことが無い」
糸鋸は関心した目つきで御剣を見つめる。
「御剣検事のような方にもなると、こういうところには来ないんですねぇ」(現場の検証や捜査は警察の仕事ッスよね)
悪意の無い糸鋸の言葉は、御剣には皮肉に聞こえた。
「なんだキサマ、ラブホのひとつも行ったことがない私を、侮辱するつもりか」
「えええ! そんなこと無いッス!」
「来月の給与査定、楽しみにしておくことだな」
「ま、またそれッスかぁ!」
糸鋸はがくがくと震えながら、顔をビリジアンにする。
「それにしても、ここで……なんというか、その……する、わけか」
「そうですねぇ、そういうところですから」
「ここは変な気分にさせられるな。いたたまれない気持ちになる」
「そうッスかぁ。自分は慣れているので平気ッスが」
御剣は刺すような目で糸鋸を睨みつける。糸鋸は身体をずぼませた。
「御剣検事、ちょっと聞いてもよろしいですか」
ぼそぼそとした声で糸鋸が聞いてくる。
「なんだ」
「その、言いにくかったらいいんスが、よければ聞かせて欲しいッスが」
御剣はいらいらを募らせていく。
「刑事、はっきりとしゃべれ」
「そ、その……なんで御剣検事はそんなに頑張るッスか?」
「頑張る?」
「そうッス。裁判で勝つために、御剣検事はすごく頑張ってるッス」
御剣は腕を組み、顎を少し上げて目を閉じる。
「逆に聞こう。なぜ刑事はそんなに頑張る」
(つづく)
「え? なんでッスか?」
「なんで、だと? 私はこのようなことろ、一度だって来たことが無い」
糸鋸は関心した目つきで御剣を見つめる。
「御剣検事のような方にもなると、こういうところには来ないんですねぇ」(現場の検証や捜査は警察の仕事ッスよね)
悪意の無い糸鋸の言葉は、御剣には皮肉に聞こえた。
「なんだキサマ、ラブホのひとつも行ったことがない私を、侮辱するつもりか」
「えええ! そんなこと無いッス!」
「来月の給与査定、楽しみにしておくことだな」
「ま、またそれッスかぁ!」
糸鋸はがくがくと震えながら、顔をビリジアンにする。
「それにしても、ここで……なんというか、その……する、わけか」
「そうですねぇ、そういうところですから」
「ここは変な気分にさせられるな。いたたまれない気持ちになる」
「そうッスかぁ。自分は慣れているので平気ッスが」
御剣は刺すような目で糸鋸を睨みつける。糸鋸は身体をずぼませた。
「御剣検事、ちょっと聞いてもよろしいですか」
ぼそぼそとした声で糸鋸が聞いてくる。
「なんだ」
「その、言いにくかったらいいんスが、よければ聞かせて欲しいッスが」
御剣はいらいらを募らせていく。
「刑事、はっきりとしゃべれ」
「そ、その……なんで御剣検事はそんなに頑張るッスか?」
「頑張る?」
「そうッス。裁判で勝つために、御剣検事はすごく頑張ってるッス」
御剣は腕を組み、顎を少し上げて目を閉じる。
「逆に聞こう。なぜ刑事はそんなに頑張る」
(つづく)