2ntブログ
浜岡ポン太、マフマフが運営するブログサイト「マフポコの巣」の姉妹サイトです。

※18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 御剣は顔をしかめる。
「ラブホ、だと?……ラブホとは、あのラブホか?」
「ラブホはラブホっす」
 平然と答える糸鋸を見て、御剣は目頭をぎゅうと摘まんで考え込む。しばしの間、沈黙が二人を包む。
「なぜ、このようなところに」
「なにぶん、緊急事態でしたので」
 御剣は更に強く、目頭を摘まむ。
「よく、その……男同士で入れたな」
「手帳を見せたら、一発で入れたッス!」
 御剣は指が食い込むほどに目頭を摘まむ。対して糸鋸はとぼけた笑みを浮かべている。
「オマエという奴は……」
 どんよりとした空気を漂わせる御剣を尻目に、糸鋸は〝イヤ~〟と照れながら頭の後ろを掻いている。御剣はハァと深い溜息をつき、周囲を見渡す。
「それにしても、無駄に派手な部屋だな」
「そうッスねぇ、ラブホっすから」
「全くもって、情緒というものが無い」
「そうッスねぇ、ラブホっすから」
 御剣は眉をひそませて質問する。
「刑事、詳しそうだな。こういうところへはよく来るのか」
「ええ、よく来ます」(ラブホは殺人事件、多いんスよねぇ)
「な、なにィ!?」
 しれっとした顔で答える糸鋸に御剣は驚かされた。
「ま、まさか、男と一緒に来るのか!?」
「そうッス」(現場にいるのは男ばっかりッス)
 御剣の顔色が妙な色に変わっていく。
「あ、でも」
「なんだ、刑事」
「たまに婦警とも行くッスよ」(女性が必要なこともあるんスよねぇ)
「な、なんだと!」
 御剣はあからさまに動揺する。
「婦警ということは、署内でそんな……いや、プライベートに首を突っ込む気は無いが……男同士よりは健全……どちらにしても、なんということだ……」
 御剣に厳しい表情で睨まれ、糸鋸は頭の中をハテナでいっぱいにする。

(つづく)