「ぐむ……少しくらくらするな」
「大丈夫ッスか? さすがに三連続一気はムボーッす」
御剣の差すような視線が糸鋸に突き刺さる。
「平気だ! 私の心配より、自分の心配をすることだ!」
「え? ええ!? どういうことッスか!!」
「来月の給与査定、楽しみにしておくことだな」
「ななな!? なんでッスかぁぁぁ!!」
糸鋸はすがるような顔を御剣に突き付ける。
「……そういえば、なんでだろうな」
「えええ!? 理由もなくそんなこと言ったッスか!?」
「刑事といると、こういう言い回しが癖になってしまってな」
「そんな! ひどいッスぅ!」
泣きながら訴える糸鋸を見て、御剣はクスッと笑んだ。
「面白い奴だな、刑事は」
「そ、そんなことないッス」
糸鋸は照れたようにうつむき、鼻の頭を掻いている。
〝バタン〟
目の前で大きな音がし、糸鋸は驚いて顔を上げた。そこにはテーブルに突っ伏している御剣がいた。
「みッ! 御剣検事ぃぃぃぃぃッ!!」
顔を真っ赤にしている御剣は、小さく寝息を立てていた。しかし糸鋸は全く気が付かない。そんな余裕は無かった。
「だだだだだ、大丈夫ッスか!? 大丈夫じゃないッスね! ととととと、取りあえず救助するッス!」
完全に取り乱した糸鋸は御剣を抱きかかえ、大慌てで店を飛び出した。
「お客さん! 御勘定!」
店員は慌てて糸鋸を追いかける。
「つ、つけといてくれッス!」
「つけとくって、どこに!」
「ここッス!!」
糸鋸は乱暴に名刺を突き付けた。そしてそのまま走り去る。
「えーと……警察署!? ……世も末だねぇ」
店員は悲しげにぼやいた。
(つづく)
「大丈夫ッスか? さすがに三連続一気はムボーッす」
御剣の差すような視線が糸鋸に突き刺さる。
「平気だ! 私の心配より、自分の心配をすることだ!」
「え? ええ!? どういうことッスか!!」
「来月の給与査定、楽しみにしておくことだな」
「ななな!? なんでッスかぁぁぁ!!」
糸鋸はすがるような顔を御剣に突き付ける。
「……そういえば、なんでだろうな」
「えええ!? 理由もなくそんなこと言ったッスか!?」
「刑事といると、こういう言い回しが癖になってしまってな」
「そんな! ひどいッスぅ!」
泣きながら訴える糸鋸を見て、御剣はクスッと笑んだ。
「面白い奴だな、刑事は」
「そ、そんなことないッス」
糸鋸は照れたようにうつむき、鼻の頭を掻いている。
〝バタン〟
目の前で大きな音がし、糸鋸は驚いて顔を上げた。そこにはテーブルに突っ伏している御剣がいた。
「みッ! 御剣検事ぃぃぃぃぃッ!!」
顔を真っ赤にしている御剣は、小さく寝息を立てていた。しかし糸鋸は全く気が付かない。そんな余裕は無かった。
「だだだだだ、大丈夫ッスか!? 大丈夫じゃないッスね! ととととと、取りあえず救助するッス!」
完全に取り乱した糸鋸は御剣を抱きかかえ、大慌てで店を飛び出した。
「お客さん! 御勘定!」
店員は慌てて糸鋸を追いかける。
「つ、つけといてくれッス!」
「つけとくって、どこに!」
「ここッス!!」
糸鋸は乱暴に名刺を突き付けた。そしてそのまま走り去る。
「えーと……警察署!? ……世も末だねぇ」
店員は悲しげにぼやいた。
(つづく)