2ntブログ
浜岡ポン太、マフマフが運営するブログサイト「マフポコの巣」の姉妹サイトです。

※18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「ぐむ……少しくらくらするな」
「大丈夫ッスか? さすがに三連続一気はムボーッす」
 御剣の差すような視線が糸鋸に突き刺さる。
「平気だ! 私の心配より、自分の心配をすることだ!」
「え? ええ!? どういうことッスか!!」
「来月の給与査定、楽しみにしておくことだな」
「ななな!? なんでッスかぁぁぁ!!」
 糸鋸はすがるような顔を御剣に突き付ける。
「……そういえば、なんでだろうな」
「えええ!? 理由もなくそんなこと言ったッスか!?」
「刑事といると、こういう言い回しが癖になってしまってな」
「そんな! ひどいッスぅ!」
 泣きながら訴える糸鋸を見て、御剣はクスッと笑んだ。
「面白い奴だな、刑事は」
「そ、そんなことないッス」
 糸鋸は照れたようにうつむき、鼻の頭を掻いている。
〝バタン〟
 目の前で大きな音がし、糸鋸は驚いて顔を上げた。そこにはテーブルに突っ伏している御剣がいた。
「みッ! 御剣検事ぃぃぃぃぃッ!!」
 顔を真っ赤にしている御剣は、小さく寝息を立てていた。しかし糸鋸は全く気が付かない。そんな余裕は無かった。
「だだだだだ、大丈夫ッスか!? 大丈夫じゃないッスね! ととととと、取りあえず救助するッス!」
 完全に取り乱した糸鋸は御剣を抱きかかえ、大慌てで店を飛び出した。
「お客さん! 御勘定!」
 店員は慌てて糸鋸を追いかける。
「つ、つけといてくれッス!」
「つけとくって、どこに!」
「ここッス!!」
 糸鋸は乱暴に名刺を突き付けた。そしてそのまま走り去る。
「えーと……警察署!? ……世も末だねぇ」
 店員は悲しげにぼやいた。

(つづく)