「んぐむッ! こ、これは」
目を見開いて固まる御剣。
「たまらないッスよね、そのツーンとくる感じ! ここのたこわさは特別ツーンとくるッス!」
御剣が口に運んだのは、茎わさびとすりおろしたわさびがたっぷり和えられたタコのぶつ切りであった。目の前がフラッシュするくらいに辛い。
「うぐぐぐぐぐぐ」
脳が委縮したのではと錯覚するくらいに強烈な刺激が、御剣を襲う。嗚咽を漏らす御剣を、糸鋸が心配そうに見つめている。
「もしかして、辛いのダメでしたか?」
糸鋸の言葉に御剣は眉をひそませる。そして平然とした顔を見せつけた。
「う、うまいな、これは」
糸鋸は更に心配そうに見つめる。
「なんだか肩がぷるぷるしてますが……」
「大丈夫だ」
「でも、目尻に涙が……」
「大丈夫だ!」
「でもでも、顔色がわさびみたいな緑色に……」
「大丈夫だと言っている!」
御剣は糸鋸をきつく睨みつけた。
「わひゃあッ」
糸鋸は肩をすぼませて小さくなった。
「それ、もらうぞ」
余裕のない表情で、御剣は糸鋸が飲みかけているジョッキを奪い、一気に飲み干す。糸鋸は目をぱちくりしながら、何も言えずに御剣の一気を見守った。
〝ダンッ〟
空のジョッキがテーブルに打ち付けられる。一息ついて、御剣はぼそりと漏らす。
(つづく)
目を見開いて固まる御剣。
「たまらないッスよね、そのツーンとくる感じ! ここのたこわさは特別ツーンとくるッス!」
御剣が口に運んだのは、茎わさびとすりおろしたわさびがたっぷり和えられたタコのぶつ切りであった。目の前がフラッシュするくらいに辛い。
「うぐぐぐぐぐぐ」
脳が委縮したのではと錯覚するくらいに強烈な刺激が、御剣を襲う。嗚咽を漏らす御剣を、糸鋸が心配そうに見つめている。
「もしかして、辛いのダメでしたか?」
糸鋸の言葉に御剣は眉をひそませる。そして平然とした顔を見せつけた。
「う、うまいな、これは」
糸鋸は更に心配そうに見つめる。
「なんだか肩がぷるぷるしてますが……」
「大丈夫だ」
「でも、目尻に涙が……」
「大丈夫だ!」
「でもでも、顔色がわさびみたいな緑色に……」
「大丈夫だと言っている!」
御剣は糸鋸をきつく睨みつけた。
「わひゃあッ」
糸鋸は肩をすぼませて小さくなった。
「それ、もらうぞ」
余裕のない表情で、御剣は糸鋸が飲みかけているジョッキを奪い、一気に飲み干す。糸鋸は目をぱちくりしながら、何も言えずに御剣の一気を見守った。
〝ダンッ〟
空のジョッキがテーブルに打ち付けられる。一息ついて、御剣はぼそりと漏らす。
(つづく)